筋肉の生理を知って効果的に運動能力を伸ばす

トレーニングによって鍛えられる筋肉は「骨格筋」で、筋線維が集まってできています。その筋線維には、白っぽい色をした「速筋」と、赤色の「遅筋」の二種類があり、骨格筋の一つひとつには、この二種類の筋線維が混在しています。その割合は身体の部分や人によって違います。
最近は、中高年者の間でも筋力トレーニングによって運動能力や体力を高めたいという意欲のある人が増えているようですが、この場合には、よく使われる筋肉や特性を考えて必要な筋肉を効率よく鍛えることが大切です。

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【遅筋を鍛えるトレーニング】
●トレーニングの種類としては、ウォーキング、速歩、ジョギングなどの有酸素運動が適しています。これらの運動を続けていくと、遅筋が発達し、毛細血管も発達して血液循環がよくなります。
●持続時間がポイントとなるため、短過ぎると効果が期待できません。だからと言って、慣れないうちから長時間やるのではなく、中高年者の場合なら、早歩きを10〜15分程度から始めるのが良いでしょう。もしそれでもきつい場合には、早歩きを3分続けた後に2分間はゆっくり歩くというやり方を繰り返して身体を慣らしていきましょう。
●少し慣れたら、早歩きを5分続けた後に2〜3分間ゆっくり歩きに切り替えるというようにして、20分、30分と時間を伸ばし、最終的には1時間程度までもっていきましょう。
●遅筋を鍛えて毛細血管を発達させるには、ほぼ1年以上のトレーニングが必要でしょう。
【速筋を鍛えるトレーニング】
@生活の中での手軽な速筋のトレーニング法の一つに、椅子に座っての「ステッピング」があります。
この運動では膝を軽くそろえて座ったまま、なるべく早いテンポで足を交互に上下します。
A椅子に座ってのトレーニング法としてもう一つ、「腕振り」があります。
これは、楽な姿勢で椅子に座り、なるべく早いテンポでランニング時のように両腕を振ります。
B以上の動きが楽にできるようになったら、「トロッティング(その場走り)」に切り替えてみましょう。
この運動は、短距離走で全力疾走をする時のように、手足をなるべく早く動かして、その場で駆け足をします。
※ @〜Bのいずれの運動も、最初は10秒程度から始めて、20〜30秒と伸ばしていきます。
≪筋力トレーニングに対する疑問・質問≫
Q:「持久力はありますが、瞬発力にかけているのは親ゆずりのようで、素早い動きができません。トレーニングすれば、短距離走が得意になれるでしょうか。」
A:筋線維の割合である筋線維組成は、遺伝的な要素が強く、生まれつき決まっているので、トレーニングによってがらりと変えることは期待できません。しかし、遅筋が多い人でも、トレーニングをすれば速筋を太くすることは可能なので、少なくとも日常生活で支障をきたさない程度の素早い動きができるようになるはずです。

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